心の門番

5月12日にフジテレビで放送した「Dr.ミステリーの事件簿」に興味深い病気と治療法がありましたので紹介させて頂きます。

キャンディス・ウィルキンソンさん(26歳)はポテトチップス以外は味が感じず、主としてポテトチップスだけ食べている。他の物を食べる時には大量の塩をかけて食べます。全体の食事量も2日に1回の割合でしか食べられない。無理やり食べようとするとパニックになってしまう。

もう一つの問題は周りの人に理解されないという事。学校ではポテトチップス好きと勘違いされてからかわれ、親には好き嫌いと勘違いされて叱られて、おまけに医師や栄養士には「そんな病気はない!」食べる事にチャレンジするようにとしかアドバイスされない。

そしてネットで検索し、これがれっきとした病気で同じように苦しんでいる人がいるのを知る。病名はARFID(回避・制限性食物摂食症)、2013年にDSM-5に採用されました。

もう一人はティファニー・バードさん(28歳)は「食べ物が怖い。野菜や果物は敵」という。この時、出演者の博多大吉さんの「何が怖いの?」と声が入りました。普通の人の正直な当たり前の反応ですね。大吉さんが無理解な訳ではないですね。仕方ない部分です。

ティファニーさんは調味料やピーナツバターも同じメーカーの物しか食べられない。野菜や果物を見るだけで不安で身体が震えたり、胃が痛くなったり、過呼吸になったりする。

この病気を1時間で治せるという男がロンドンにいる。フェリックス・エコノマキス。アパートの一室で治療を行っている。彼は医師ではない。イギリス王室認可のイギリス心理学会公認の心理学者。

治療前の患者に恐怖を感じている食べ物を買って来てもらう。治療後に食べられるかどうか確認する為に。

『先ずはリラックスしてね。ここから少しの時間、僕が話しますから』彼の治療法は1時間話し掛けるだけ。

『先ず言いたい事は私たちの脳は何が危険なのかを理解するのがかなり苦手なんです。例えば、ライオンや鮫を恐れるように子犬や子猫を恐れる大人もいますよね。あなたの脳は何らかの理由で同じように食べ物を怖れているんです。』

『想像してみてください。もう一人のあなたに「私の手の上に乗って」とお願いしてお話をしてみましょう。』

『あなたの潜在意識に他の食べ物を受け付けない門番がいるんです。だから決まったメーカーのピーナツバターしか受け付けないんです。』

『あなたはこの門番の事をどう思ってますか?』

ティファニー「門番の事は好きじゃないです。私の人生、私の行為をコントロールしようとするからです。」

『門番は君に幸せになって欲しいだけだよ。だけど君が幸せでない理由は君を助けようとしてる方法が間違っているからなんだ。』

『この門番はあなたに従うのでボスであるあなたがはっきりと指示を出して従わせる必要があるんだ。』

『あなたが初めてプールに行った時、泳げる保証はなかたよね。だけど、自分ができるだろうと判断してそれで泳げた。これが重要なんだ。出来ると信じて行なった事は本当に出来るようになるんだよ。』

『喫煙者はよく煙草が止められないと言うけど、私が「飛行機に長時間乗った事はありますか?」と聞くと「ハワイへ20時間かけて行った事があります。」その時は煙草を吸いましたか?「吸いませんでした。」人間はスイッチを切り替えれば煙草だって止められるんです。』

『自転車は転んで死ぬかも知れない。そんな事ないよね。ヘルメットをかぶって運転したら大丈夫。違う種類のピーナツバターを塗る時、「え、いつもと違う」そうじゃない、私はこれも食べられる。』

最後はティファニーを寝かせリラックスさせる。新しい世界を受け入れる心の準備をさせる。そして10分後『自由に食べ物を選べる事は楽しみですか?さあ、今から新しい人生の始まりを楽しみにして目を開けましょう。』

キャンディスにも『プールは溺れるから危ない。そんな事ないよ。気を付けていれば大丈夫。』このような例え話を繰り返し、思い込みを取り払っていく。

そして治療後、持ってきた食べ物を食べてみる。最初はおそるおそるでしたが、食べられるようになりました。

このエコノマキス氏に就きましては、ネット上では精神分析医、国家公認カウンセリング心理学者、臨床催眠療法士などサイトによって違う表記となっています。真偽は不明です。病名もSED(選択性摂食障害)であったり、治療法も催眠療法という記述になっているものもあります。

番組を見る限り、最初と最後にリラックスタイムがありましたが、催眠療法ではないように思います。暗示でもありません。精神分析的手法も見当たりません。過去のトラウマとかに関係なく、今現在の思い込みの是正に焦点を当てているようです。

ただ、一見例え話の羅列だけで患者が本当に理解出来るのが不思議です。説得療法に似てますね。説得療法とは、例えば潔癖症の人に菌の95%は人体に有用で手を洗い過ぎたり、消毒し過ぎると却って別の感染症にかかりやすいといった科学的事実を突き付けて「あなたのしている事は愚かな事ですよ!」と知らしめて、その行為を止めさせようとするものです。ただ、森田正馬博士によると、説得療法はあまり効果がないそうですが。この番組で取り上げられたのは「成功例」だけの可能性は否定できないと思います。

私自身、他人の作った料理は食べられないというのがあるのでこの病気に似たところがあり興味をかき立てられます。また、周りの状況が緘黙症に似ている部分もあります。

例えば、「単なる好き嫌い」=「単なる人見知り」、「食べるようにチャレンジしてください」=「話す努力をしなさい。自分から輪の中に飛び込んで話しかけてみなさい。」何よりも自分の意思で食べないのではない、話さないのではないという部分は同じです。

「門番」を使った説明は、腑に落ちるというか、説得力がありますね。この療法は緘黙症に充分効果があるように思えるのですが・・・いかがでしょうか?

この記事へのコメント